お盆によせて
あなたがいたから 今 私がここにいます ありがとう
もうすぐお盆。そして終戦記念日がやってきます。
先日沖縄県糸満市で開かれた戦没者追悼式では、高校生が「平和の詩」を朗読しました。
「平和の詩」(一部抜粋)
あなたが声を上げて泣かなかったあの時
あなたの母はあなたを殺さずに済んだ
あなたは生き延びた
あなたが少女に白旗を持たせたあの時
彼女は真っ直ぐに旗を掲げた
少女は助かった
ありがとう
あなたがあの時
あの人を助けてくれたおかげで
私は今 ここにいる
目に見えないコロナに怯える毎日。こんな時、古来より日本人は目に見えない力に頼るもの。
奈良東大寺の大仏から最近のアマビエブームまでそれは千年たっても変わりません。
私たちのご先祖さまも疫病に苦しみ、戦災や幾多の天災をくぐりぬけて命をつないできたのでしょう。
未曽有の事態は私達に色々な事を思い出す時間をくれたような気もします。
お仏壇にお参りする子供たちの写真は、お客様の家で撮影させていただきました。
お邪魔した時、お盆のしつらえが素晴らしく写真撮影をお願いしたものです。そして撮影時には子供達が自然とその前で合掌し祈る姿を納めることが出来ました。
昔からの年中行事を大切に守っている環境で育った子供たちは、ご先祖様への畏敬の念や感謝の気持ちが育まれているようです。
なぜお盆と言うの?
お盆の正式名称は、盂蘭盆会(うらぼんえ)または盂蘭盆(うらぼん)といいます。
この名称は、「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」というお経が由来であるとされています。
「うらぼん」は日本語では聞きなれない響きですが、サンスクリット語で「逆さ吊り」を意味する「ウランバナ」からきているといわれています。ペルシャ語で霊魂を意味する「ウルヴァン」が由来だという説もあります。このお経のもととなるエピソードがあります。
釈迦の弟子である目連(もくれん)は神通力で亡き母が餓鬼道で苦しんでいることを知ります。
なんとかして母を救済できないかと思い、釈迦に教えを乞いました。
そこで釈迦は「旧暦の7月15日(現在の8月中旬ごろ)に多くの高僧に心から供養すれば、三途の苦しみから救えるでしょう」と伝えます。
そして目連はそのとおりに実践したところ、母親を無事に救済することができた、というものです。
この教えが日本に伝わり、先祖の恩に感謝して、お墓参りや迎え火などのお盆の行事がはじまったといわれています。
監修 徳聖寺 様
お盆の室礼(しつらい)
室礼(しつらい)とは1年の節目に季節のものを供え、いらっしゃる神様を心をこめておもてなしするという風習から始まりました。
そこには日本人の自然に対する祈り、感謝、畏敬の念がありました。昔の人はそこから氏神様やご先祖様等、亡きご家族とのつながりを得ていたのでしょう。
今回、今井真理子様よりお盆の室礼を教えて頂きました。
室礼は美しく洗練されたデコレーションではありません。ここに使われている品々にはすべて意味があたえられ、祈りがこめられているのです。
それは、お仏壇が単なる家具ではないのと同じこと。
今、かつてない事態に右往左往する毎日。
あなたがいたから 今 私がここにいます ありがとう
そんな思いで今年のお盆を迎えます。